個人加盟制の医師の職能組合である全国医師ユニオン

全国医師ユニオンの企画

全国医師ユニオンと全国医師連盟が、さる10月6日に厚労省への要請行動を行いました。

m3と毎日新聞,東洋経済オンラインでとりあげられたので、ご紹介します。

 

<m3.comの記事>

臨床メーンの医師の裁量労働制は認めず、厚労省

http://www.m3.com/iryoIshin/article/142761/?portalId=iryoIshin&pageFrom=openIryoIshin

 

<東洋経済オンラインの記事>

医師が加入する労組が、勤務医の過重労働是正を厚生労働省に要請

東洋経済記事.pdf

 

 

 

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目次
1章、全国医師ユニオンはなぜできたのか
2章、医師労働の事態と課題
3章、欧米の動向
4章、日本の医療を考える
5章、福祉国家的な医療の再生をめざして

 

 

 

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1)趣旨

私たちは、医療崩壊と呼ばれる医療の危機に際して、この秋に医師・歯科医師として国民に向けた大きなアピールの企画を行うことにしました。2012年度の医療・介護報酬の同時改定は、日本の医療再生にとって極めて重要です。2009年総選挙での民主党マニュフェストでは、医療再生のために1兆2000億円程度の緊急予算やOECD平均の医療費をめざすことが謳われていましたが、現実は診療報酬0.19%増という微増に終り、医療再生にはほど遠い結果に終わりました。私たちは「医療再生に必要な診療報酬の改定」を求め、これまでにない大きな運動を起こすことが必要であると考えています。
この度は、東日本大震災という未曽有の危機がありました。私たちは、かかる大震災後にこそ、被災地の医療・福祉の再生にとっても、国民皆保険を守るアピールや診療報酬の増額の要求が必要であると考えました。そして、震災復興における医療・介護面での国の責任による解決を求めることを、目的の一つとしました。大震災を受けて診療報酬の改定が延期される可能性もあるかに聞き及んでいますが、仮に延期となっても、現場の医師が医療再生に必要な発信を行うことは極めて重要であると考えます。
これまで、日本を代表する多くの方がこのままではいけないと危機をつのらせ大きな運動が求められていると語っています。そして、デモやストの必要性を語る方もおられます。日本においては1961年の国民皆保険開始に先立って、東京医師会の呼びかけで8000名の医師が集まり、集会とデモ行進を行った歴史があります。
私たちは、「呼びかけ人」の方々と共に、一人でも多くの医師・歯科医師の方々に呼びかけを行い、医療再生へ向けたメッセージを集めて具体的な要請文を作成し、11月20日(日)に1000名規模の医師・歯科医師の集会とドクターズ・ウォークを目指すものです。そして、全ての国会議員及び厚生労働大臣と財務大臣に要望書を渡したいと考えています。
またこれに先立ち、9月23日に宮城県で「震災と医療再生」(仮題)に関するシンポジウムを開催することや10月に医師・歯科医師によるドクターズ・ランニングの企画も検討しています。
私たちは、医療崩壊の現状を多くの国民に理解していただき、医療費抑制政策から医療再生への転換をはかり、国民が安心できる医療を実現させるために、多くの医師・歯科医師の方々が参加することを心から呼びかけるものです。
 
 
 
2)組織と体制に関して
・世話人会について   呼びかけ人の中から世話人を選び、世話人で運営を行う。
・呼びかけ人に関して  2段階で集める。
 第1次:各組織及び著名な医師・歯科医師(本日発表分:別紙参照)
  第2次:著名医師をはじめ、全ての医師の国会議員、医学部長病院長・歯学部長及び
全ての地域医師会長等に要請を行う。
医師・歯科医師以外の医療関係者、患者の方々やジャーナリスト・弁護士等の市民にも要請を行う。
 ・賛同人について(一口1000円で賛同人になっていただく)
各都道府県を中心に、参加できる医師・歯科医師を中心に集める。
      目標は1000名とする。締め切りは10月末とする。
 
・その他、可能な都道府県は実行委員会を作り医療再生に関するシンポジウム等を行う。
*呼びかけ人・賛同人は、随時ホーム・ページ、ニュースで公表する。
 
3)主な企画
 1)医師・歯科医師の医療再生メッセージを集める。(厚労省・国会議員等に渡す)
 2)医療再生に必要な政策の要請文を作り、厚労省・財務省等・国会議員に渡す。
 3)「震災と医療再生」(仮題)シンポの開催
宮城県にて9月23日(金・祭日)午後 シンポジウムを行う。
 4)ドクターズ・ランニング(詳細は未定)
    10月の日曜日に全国各地で、医師・歯科医師が走ってアピールする企画を行う。
 5)ドクターズ・ウォーク
    11月20日(日)午後 日比谷野外音楽堂にて集会開催、その後デモ行進を行う。
 
4)宣伝等
ポスター・チラシ・ニュースを3回程度作り発送する。
 ・バッジを作り、賛同者に1個、1000円で買ってもらい、運動を広げる。
 
 
 
 
呼びかけ人
 
 (五十音順)
    井上博之(松島海岸診療所歯科医師)
    色平哲郎(佐久総合病院)
    植山直人(全国医師ユニオン代表)
宇佐美宏(全国保険医団体連合会歯科代表)
    榎木英介(病理医・科学ジャーナリスト賞2011受賞)
香山リカ(立教大学教授・精神科医)
北澤彰浩(日本医労連医師対策委員会委員)
    黒川 衛(医療再生フォーラム21世話人)
今田隆一(宮城県災害拠点病院 坂総合病院院長)
住江憲勇(全国保険医団体連合会会長)
遠山義浩(小樽脳・循環器病院理事長)
    中澤堅次(NPO法人医療制度研究会理事長)
    中島恒夫(全国医師連盟代表)
日野秀逸(東北大学名誉教授)
    藤末 衛(全日本民医連会長)
    邉見公雄(赤穂市民病院名誉院長)
    本田 宏(NPO法人医療制度研究会副理事長)
    牧田俊則(大阪赤十字病院 循環器内科)
    宮沢裕夫(松本歯科大学大学院教授)
         
 
 
 
ドクターズ・デモンストレーション2011 
~震災復興・医療再生ドクターズ・ウォーク~ スローガン・要請項目(案)
 
スローガン(案)
・東日本大地震被災者の命と健康を守ろう
・日本の医療を守ろう
・国民皆保険を守ろう
・医療難民・介護難民をなくそう
・医療従事者の健康と生活を守ろう
 
要請項目(案)
・東日本地震被災者の医療・介護保険の保険料と自己負担の長期的な免除(減額)
・OECD並みの公的医療費
・保険財政への国庫負担の増額
・無保険者の救済
・患者負担の軽減(窓口負担の軽減)
・必要な医療には全て保険適応を
・ドラッグ・ラグの解消を
・ワクチン無料化の推進
・医療における消費税の0税率
・企業に応分の保険料負担を
・OECD並みの医療技術料の算定
・OECD並みの勤務医の労働時間を目指した医師数養成
・OECD並みの医学研究費
・OECD並みの医学教育費
・療養病床の削減中止
・医療スタッフの養成数の増員
・医療安全従事者の配置コスト
・現状に合わない古い医師法の改正
・保険適用の範囲を広げ、保険で良い歯科医療の実現を
・歯科技工士、歯科衛生士の技術と労働の適正な評価を
・介護職員が生活できる介護報酬
・医療・介護での雇用の拡大
 
 
 

私たち全国医師ユニオンは、来年秋に「医療再生に必要な診療報酬改定」を求めて、医師によるデモ行進を行なうことを呼びかけることにしました。主催はできるだけ多くの団体を集め実行委員会形式で行ない1000名規模のデモ行進を目指します。また、日程や要求項目も実行委員会において、決めていくものです。当面、下記の呼びかけ文を医療関係団体に送り、来年のできるだけ早い時期に実行委員会を発足させたいと考えています。

 

 

「ドクターズ・デモンストレーション2011」実行委員会への参加の呼びかけ文(案)

 

私たち全国医師ユニオンは医療崩壊と呼ばれる医療の危機に際して来年秋に医師のデモンストレーションを呼びかけることにしました。2012年の医療・介護報酬の同時改定は、日本の医療再生にとって極めて重要です。昨年総選挙での民主党マニュフェストでは、医療再生のために1兆2000億円程度の緊急予算が謳われていましたが、現実は診療報酬0.19%増という微増に終り、医療再生にはほど遠い結果に終わりました。私たちは「医療再生に必要な診療報酬の改定」を求め、これまでにない大きな運動を起こすことが必要であると考えます。

これまで、日本を代表する多くの医師の方々と話す機会がありましたが、多くの方がこのままではいけないと危機つのらせ大きな運動が求められていると語っています。そして、デモやストの必要性を語る方もおられました。しかし、現状ではデモ行進を呼びかけることができる団体はありません。組織の性格上、私たち全国医師ユニオンにこそ呼びかけを行なう使命があると考えるに至りました。

日本においては1971年の保険医総辞退の運動以降、医師の大きな抗議行動は起きていません。40年間の医師の沈黙を破り、国民との協力を目指し、医療再生の足が掛かりを作る必要があります。私たちはこれまで声を上げてこなかった医師自らが行動を起こすことを重視して、医師のみによるデモ行進を呼びかけることにしました。

私たちは、医師が関係する主要団体や医療界のオピニオンリーダーに呼びかけを行ない、来年の早い時期に実行委員会を結成したいと考えています。この実行委員会において、具体的な要求項目を作成し、さらに多くの医師団体や医師に呼びかけを行ない、来年秋に1000名規模の医師のデモ行進を目指すものです。また、全ての国会議員に要望書を送ると共に、厚生労働大臣と財務大臣に要望書を手渡し直接要請を行ないたいと考えています。

尚、実行委員会として協力団体の名称を公表すべきか、その団体に所属する個人の呼びかけ人の名前のみを公表するかについても、今後実行委員会で議論すべきであると考えます。

具体的な協力に関しましては、賛助金の協力、実行委員会への事務員の派遣、各団体内への宣伝物の配布、医師への参加の呼びかけ等、各団体において可能なご協力を頂ければ幸いです。

医療崩壊を食い止め医療再生を実現させるために、貴団体が実行委員会に参加していただけますよう心よりお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

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国土交通省

大臣 馬淵澄夫 殿 

 

 

全国医師ユニオン

代表 植山直人  

 

 

 

安全性を犠牲にしたJALの再建が行なわれないことを希望します(要望書)

 

 

JAL再建に関して、日本航空乗員組合が人格権を侵害するような退職強要が行なわれているとして、東京地方裁判所に退職強要禁止の仮処分命令の申立を行なったと聞いています。さらに整理解雇が行なわれると聞き、空の安全性が脅かされる危惧を抱きます。

私たち全国医師ユニオンは、去る731日に、「命の安全を守り労働のルールを考えるシンポジウム『いのちⅡ』」を航空関係の方々と共催しました。このシンポジウムにおいては、主に過労と安全の問題を中心に議論を行ないました。そしてパイロットのみならず航空乗務員全体の体調管理やチームワークは事故防止にとって不可欠の要素であることが確認されました。

今回のJAL再建においては、運航乗務員に白紙のスケジュールを渡すことにより退職を迫るなど人格権の侵害ともいえる行為が行なわれていると報道されています。このような事態は安全性を求められる航空会社の職員に不要なストレスを与えたりチームワークの低下を招き、重大事故のリスクを高めることに繋がりかねません。事故を防ぐための「ヒヤリ・ハット」報告が減少するなど、あってはならない危険リスクの上昇が起こっているとも聞き及びます。

 

航空の安全に関しては、従業員の責任、会社の責任、国の責任が問われますが、この3者の協力なくしては、安全運航は成り立ちません。労使の誠実な話合いと安全性を重視した国の関与が必要であると考えます。

羽田空港の24時間化で、乗務員の労働強化などによる安全性の低下が危惧される中で、JAL再建が、職員の人権や安全性を軽視したかたちで強引に進められることがないように要望します。

医療や航空において絶対的な安全は存在しません。私たちは、少しでもリスク因子を取り除き、より安全・安心の社会の実現を目指して日々努力しています。このような視点から、今回のJAL再建が労使の信頼関係を壊すことなく円滑に進むように、政府が適切な指導・援助を行なうことを心から希望します。

 

全国医師ユニオン総会 医療労働研究会ポスター union3rd.pdf

 

<第3回 全国医師ユニオン総会>

(総会に参加できるのは全国医師ユニオン会員のみです)

とき : 11月28日(日) :10時00分~12時00分

ところ: TKP田町カンファレンスセンター 1階

アクセス

   都営浅草線・三田線 三田駅 A6出口 徒歩5分

   JR山手線・京浜東北線 田町駅 三田口(西口) 徒歩7分

   住所 : 〒108-0014  東京都港区芝4丁目8番2号 興和三田ビル1F・9F

 

<第2回 医療労働研究会>

主催 全国医師ユニオン  共催 全国医師連盟

とき : 同日 :13時30分~16時30分(懇親会17時~ 同じ建物内)

ところ: 同上 :入場料2000円 (どなたでも参加可能です)

 

報告 全国医師ユニオン活動報告

     植山直人 全国医師ユニオン代表


報告 小児科医師 中原過労死裁判最終報告

     中原のり子 中原過労死裁判原告


講演 「医師の労働運動を考える」

     日野秀逸 東北大学名誉教授(医療政策)


講演 「我々は如何に団結し、如何に闘ったか」

   ワールドベースボールクラシック王者もう一つの闘い 2004年ストライキ
     
松原 徹 労働組合日本プロ野球選手会事務局長


お問い合わせ  全国医師ユニオン事務所
〒101-0025  東京都千代田区神田佐久間町2-7 第6東ビル605
TEL:03-5825-6138     FAX:03-5825-6139
E-mail : dr-union@nifty.com

 

 

厚労省の「必要医師数実態調査」に関する声明

 

厚労省の「必要医師数実態調査」に関する声明.pdf

 

                          2010年10月7日

                          全国医師ユニオン 

1)はじめに

2010年9月29日に厚生労働省から「病院等における必要医師数実態調査の概要」が発表されました。

この調査は、初めて現場の実態を調査したという点で一定の評価をすることはできますが、大きく誤った認識を国民に与える可能性が高いと考えられます。新聞報道などをみれば、日本で不足している医師の数が2万4千人であるとの印象を与える記事が多く、この数字が一人歩きすることを危惧します。

私たちはこの調査の問題点を明らかにするとともに、関係省庁である厚生労働省・文部科学省・財務省に、本来あるべき医師数を明らかにし医療再生へ向けた医師増員と公的医療費・研究費・教育費の増額を求めるものです。

 

2)国際比較でみた日本の医師数の現状

日本は80年代から医師数抑制政策をとってきました。医師数抑制政策とは医師数の削減ではなく、医師数の増加率の抑制です。医療技術の進歩と高齢化の進行で、OECD諸国ではこの20年間で医師数は1.5倍に増えています。

そのために国際比較でみると、日本の人口当たりの医師数は、世界196カ国の中で63位であり、高度な医療を行う先進国では極めて少ない数になっています。さらに、多くの国の医師数が実働医師数であるのに対して、日本の医師数は医師免許を持っている全ての医師の数であり、高齢ですでに引退している医師や出産・育児等で仕事を離れている医師も含まれています。

OECD加盟国の人口1000人当たりの医師数が平均3.1人に対して、日本は2.0人という状態であり、OECD並みの医師数にするためには、最低でも現状の1.5倍の13万人の医師を増やす必要があります。しかし今回の調査結果では、日本の医師数を1.1倍にすれば必要医師数はみたされるとの誤解を招きかねません。今回の調査は、使い方を誤れば、これまでの医師数抑制政策を肯定することになりかねないということです。

 

3)今回の「必要医師数」の問題点

今回の「必要医師数実態調査」は、全国の病院と分娩取扱い診療所へ調査票記入を依頼し集計したものであり、各医療機関の意識調査というべきものです。必要医師数は「地域医療において、現在、医療機関が担うべき診療機能を維持するために確保しなければならない医師数」となっており、各医療機関の経営的視点も含めた主観的調査にすぎません。

地域によっては、医師不足により医療機関が廃院となっている地域もありますが、病院が存在しない地域の必要医師数は0人となってしまう調査です。また、病院調査の回収率が88.5%となっていますが、未回答の病院の必要医師数は反映されていません。さらに、今回の調査は一般の診療所は調査対象ではなく、地域で不足している診療所医師数は調査すら行なわれていません。このような調査で日本の必要医師数を論ずることは不適当といえます。あくまで各医療機関の求人に対する意識を知るために活用すべきデータです。

今回の調査の最大の問題点は、現在の低い診療報酬や医師の労働基準法違反を前提とした調査になっていることです。様々な医療問題を解決する上でのあるべき医師数と病院経営上可能な医師の求人とは全く別のものです。現在病院の約7割は赤字であり、地域的に必要であっても、病院の経営が許す範囲でしか医師の増員は検討されていないと考えるべきです。

また、医師の過重労働が労働基準法を無視して蔓延しており社会問題化していますが、厚生労働省の調査であるにもかかわらず、この問題を解決する視点が全くありません。厚生労働省の「医師需給に係る医師の勤務状況調査」(2006年)でも勤務医の1週間の労働時間の平均が63.3時間と、いわゆる過労死ラインを超えており、医療の安全性の面からも深刻な問題となっています。医師の当直では30時間を超える長時間連続労働が問題となっていますが、これを解決するには欧米では常識となっている交代制勤務の導入しかありません。今回の調査では、交代制勤務を導入している病院は9.2%となっていますが、当直で過重労働を強いている全ての医療機関で交代制勤務を導入した場合の医師数を調べることが重要です。

厚生労働省は、今年4月に労働基準法を改正し労働者のワーク・ライフ・バランスの重要性を強調していますが、同一省庁としての一貫性が見られず残念といえます。

 

4)求められる必要医師数の調査・研究

①過重労働の解消と安全性の視点

日本病院会の勤務医に関する意識調査(2007年)では、「当直の翌日も普通の勤務をしている医師は88.7%」であり、 71%の医師が「慢性疲労を訴え」ています。また、医療過誤の原因として「過剰な業務のために慢性的に疲労している」が71.3%に上っています。 

医労連「医師労働実態調査」(2007年)では、3割近くが「前月の休みゼロ」 であり、4割以上の医師が「健康不安・病気がち」 と答え、5割の医師が「職場を辞めたい」 と考えています。これらは医療崩壊の主要な原因であり、労働基準法が守られていないことから引き起こされています。また、先進国では医療の安全性の観点から、医師の労働時間を規制する動きが強まっています。これらの労働問題の解決と安全性の視点が必要です。

②医療技術の進歩と高齢化の進行に対応する視点

 医師の必要数が増加する最大の要因は、医療技術の進歩です。これまで、不可能であった検査や治療法が次々に開発され、それに関する専門的な知識や技術を持った医師が新たに必要となったり、一般的な医療水準が高度となりマンパワーを増やすことが必要となります。また、高齢化の進行は国民の有病率を高め医療機関を受診する患者の数を増やします。これは、避けることのできない現実です。このことを前提に国民の医療要求に即して中長期的な医師数を算出する必要があります。

③医療の産業としての発展を促進する視点

 日本の医学・医療は衰退の危機にあります。医療費の抑制と医師のマンパワー不足で、大学をはじめとする医学研究は後退を余儀なくされ、医学に関する日本の研究論文は減る一方です。

 80年代から、日本では医療費や福祉にお金をかけることを無駄と考える風潮が根強くあります。しかし、福祉国家と呼ばれる国では、医療や福祉は経済効果の高い重要な国内産業となっており、決して財政的視点から否定的に捉えるべき分野ではありません。医療に関連する分野でも、日本の高い技術力やもの作りの力が生かされる可能性を秘めています。

 日本の医学・医療のレベルを高める視点、医療を経済効果の高い産業として育成する視点が必要です。

 

 文部科学省は、将来的な医師養成数を決めるにあたり、医師不足に対応する専門家会議を設置することを表明しています。私たちは、上記の視点を積極的に取り入れ、医療の再生が展望できる結論が出されることを期待するものです。

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監修 岡村親宜 

(過労死弁護団全国連絡会議 代表幹事)


編著 医師の働く権利 編集委員会 

2009930日初版)

 

改訂版 2010911日 せせらぎ出版発行
A4
 169p  定価1800円(税込み) 

 

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「医師の働く権利 基礎知識」改訂版の販売について

中原利郎氏損害賠償訴訟(小児科医過労死事件)に関する声明

中原利郎氏損害賠償訴訟に関する声明.pdf

                      2010年7月20日
                      全国医師ユニオン運営委員会

去る7月8日に、中原利郎氏損害賠償訴訟の和解が最高裁で成立しました。
中原氏が亡くなられて11年、私たち全国医師ユニオンは、あ らためて中原氏の御冥福をお祈りするとともに、原告である中原のり子さんの闘いに心から敬意を表します。
中原氏の裁判は、
医師の過労死裁判の中でも極めて重要な裁判でした。それは、労災認定に止まらず雇用する病院側の安全配慮義務ないし 注意義務違反を問うたこと。さらに裁判訴訟において、支援する会が結成され大きな運動が起き、医師の過重労働の問題を社会 に知らせ警鐘を鳴らしたことにあると考えます。
今日でこそ、
医療崩壊により医師不足の問題が大きく取り上げられ、医師を増やす政策がとられようとしていますが、当時に あってはそのような社会的な動きは皆無であり、孤軍奮闘の中で厳しい闘いを粘り強く続けてこられたことは想像に難くありません。
今回、最高裁の和解条項には「裁判所は、
我が国におけるより良い医療を実現するとの観点から、当事者双方に和解による解決を勧告し た」と述べられています。一審・二審の原告敗訴からみれば、これは明らかな前進であり、その背景には医療崩壊が大きな社会問題となり 医師の過重労働が社会的に認められてきたことがあると考えられます。昨年、鳥取大学大学院生の過労死裁判の判決が出されましたが、診 療に従事する大学院生が労働者であるかどうかを問わずに大学に対し一定の安全配慮義務違反があったことを認定しています。
今日の医師不足と医療崩壊は、
個々の医療機関の責任ではありませんが、使用者である医療機関には、労働者である勤務医の労 働実態を把握し健康状態に留意する義務があります。

今回の、最高裁での和解を今後の「
我が国におけるより良い医療を実現する」ために役立てるには、医師労働の現状をあらためて正しく認 識する必要があります。2006年の国立保健医療科学院政策科学部の調査では常勤医師の平均勤務時間は週63.3時間で、月の時間外 労働が99.7時間となり月80時間のいわゆる「過労死ライン」を超えています。医療の需要を増やす医学・医療の進歩と高 齢化は確実に進みますが、医師養成には10数年を要するため、当面の医師不足はさらに深刻になることは明らかです。
それにもかかわらず、最近のアンケート調査をみても、
医師の勤務状態を完全に把握している医療機関は2割程度で、タイムカードを使用 している医療機関は3割程度に過ぎないとの結果が出ています。これでは医療機関が医師に対する安全配慮義務を守ることはできませ ん。

私たち全国医師ユニオンは、
今年5月に厚生労働省に医師労働に関し14項目にわたる要請を行ないました。私たちの調査では、全 国の主要な医療機関で労働基準法違反や過労死基準を超える労働協定が多数認められるため、全国の医療機関における勤務医の労働に関す る情報公開を求めましたが、受け入れられませんでした。厚生労働省は、今回の最高裁における和解の意図を真摯に受け止めること。ま た、医師労働に関する実態の情報公開を行なうこと、さらに医療機関が医師の労働実態を適切に把握するよう指導を徹底するこ とを強く希望します。

本年4月より労働基準法が改正されました。
これは長時間労働を抑制し、労働者の健康確保や仕事と生活の調和を図ること(ワークライ フ・バランス)を目的としています。各医療機関に対しては、過労死を防ぐことはもとより医師の健康確保と医療安全のために、勤 務医の労働実態を適切に把握し、地域住民の協力も得ながら、医師が健康でやり甲斐をもって働ける適切な診療環境を作ることを強く希望 します。

今回の診療報酬改定は、
勤務医の負担軽減が一つの柱になっています。しかし、大多数の医療機関では勤務医の労働条件は改善されていま せん。勤務医が自ら声を上げることが必要です。私たちは、全国の勤務医に対して自らが自分の勤務時間を記録する運動を呼びか けます。また、不払労働の解消と診療環境の改善の要求を行なうことを呼びかけます。

最後に、全国医師ユニオンは中原先生の死を無駄にせず、
国民の医療そして勤務医の健康と命を守るために、あらためて奮闘していく決意 です。

 命と安全を守り労働のルールを考えるシンポジウム「いのちⅡ」を2010年7月31日に航空関係団体と共催いたします。

 

 

シンポジウムポスター.pdf

 

日時: 2010年7月31日 13時~16時30分

場所: The Grand Hall  JR品川駅港南口

主催: 日本乗員組合連絡会議

共催: 航空安全推進連絡会議

     航空労組連絡会

     全国医師ユニオン

     日本医療労働組合連合会

 

<プログラム>

基調講演  

        日乗連HUPER    機長 河野剛治

        全国医師ユニオン   医師 植山直人

        労働科学研究所  理学博士 佐々木司

パネルディスカッション

        いのちを守る人の命が危ない

        疲労を科学的に検証

        ヒューマンエラーを未然に防ぐためには

 

問合せ先: 日本乗員組合連絡会議  03-5705-2770